篆刻のお話「印の種類」
印の種類
ひとくちに「篆刻」と言っても、印には捺す位置や形状によって様々な種類があります。
書道や日本画、水墨画などに用いられますが、篆刻の印が捺されているのと捺されていないのとでは作品としての印象が異なります。篆刻印の捺された作品は、品位や重みが増すように思います。
たいせつな作品には、美しい印を捺したいものです。
種類一覧
種類 | 説明 |
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姓名印 (せいめいいん) |
姓名を彫った印で、白文(文字の部分を彫ったもの)が多い。 名のみのものもありますが、姓だけを刻した例は、あまりありません。 |
字印 (あざないん) |
男子は元服すると、実名とは別に、一人前の人間として人と関わるときに用いる名前をつけました。これを「字(あざな)」といいます。 女子の場合は、婚約してから、つけたようです。ハンドル名のようなものですね(^^) もしかして「あだ名」の語源でしょうか? |
雅号印 (がごういん) |
上の2つとは別の風雅な名前印。姓名印と併用することが多いので、朱文(文字の部分を残して彫ったもの)が多い。 |
斎堂館閣印 (さいどうかんかくいん) |
所在を示す家屋、書斎、茶室、楼閣などの号を刻した印。 |
詩句印 (しくいん) |
好みの詩句や文章などを刻した印。 |
収蔵印 (しゅうぞういん) |
所有者が、書籍、絵画、法帖、拓本、などに捺す印。 本に捺したものは蔵書印です。 |
住所印 (じゅうしょいん) |
住所を刻した印。楷書、行書、隷書が多い。 |
吉語印 (きちごいん) |
おめでたい言葉を刻した印。 |
肖形印 (しょうけいいん) |
絵、絵と文字を刻した印。 |
干支印 (かんしいん) |
十干(甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸)と、十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥)との組み合わせで、年号を、表記する印。60種類になります。 一般的には小さなものが多いようです。 |
参考文献:教育図書株式会社「篆刻の実習」